最近は空前の禁煙ブーム。
喫煙者の皆さんはさぞかし肩身のせまい思いをしていることでしょう。
僕も少し前までは立派なヘビースモーカーでしたので気持ちはよく分かります。
外出先などでは喫煙所がなく、イライラしたものです。
でも、今では「タバコをやめて本当によかった」と心から思います。
その理由のひとつがED(勃起不全)に関するもの。
じつは、タバコはEDの原因になるんです。
今回は「タバコとED(勃起不全)との関係性について」お伝えしていきます。
勃起の仕組み|ペニスが大きく硬くなるのはなぜ?
「勃起」のメカニズムとは
まずは勃起のメカニズムをおさらいしておきます。
ここを理解しておかないと対策ができません。
勃起のメカニズム
- 性的興奮や性的刺激を受ける
- 脳の中枢神経から勃起命令が出される
- それと同時に一酸化窒素(NO)が生成される
- 一酸化窒素(NO)はcGMP(環状グアノシン-リン酸)を生成
- cGMPが陰茎海綿体付近の平滑筋を弛緩させ、静脈に血液が流入する
- 海綿体と白膜に圧迫されて血液がペニス内に留まる
- ペニスは膨張し、硬さを維持する(勃起状態)
この過程のどこかで問題が発生してしまうとED(勃起不全)となり十分な勃起が難しくなってしまいます。
このような状態になってしまうのには何かしら理由があるはずなので、しっかり対策していきましょう。
なんだか難しい言葉ばかりですが、要は「力強い勃起には血流が大切」ということです。
それでは「ED(勃起不全)とはどういうことなのか?
「ED(勃起不全)」のメカニズムとは
まずは勃起が終了するメカニズムを解説しましょう。
勃起終了のメカニズム
- 興奮状態が収まる、または射精が終わる
- 体内にPDE5という酵素が発生しcGMPを分解する
- これにより血管や平滑筋が収束する
- ペニス内に溜まっていた血液が体内に戻される
- 海綿体の膨張が収まり、平常の状態に戻る
これが勃起が終了するメカニズムになります。
ここで質問です!
もしもセックスの最中にこのPDE5が多く発生するとどうでしょうか?
同じですよね、ペニスは硬さを失い大きさも平常状態に戻ってしまうんです。
これがいわゆる「中折れ」となります。
もはや立派なED(勃起不全)といえる症状です。
そもそも性的興奮を受けても勃起しないというのは完全にED(勃起不全)といえます。
途中で萎えてしまう、硬さが維持できないのはこのような理由があるからなんですね。
「全く勃たない」もしくは「中折れ」してしまうのは血液が十分ペニスに送られない、もしくは留めておけないということです。
これがED(勃起不全)のメカニズムとなります。
タバコに含まれる有害成分
さてここからが今回の記事の本題です。
結論からいうと、「タバコを吸い続けていると勃ちが悪くなる」のは事実です。
皆さんもご存じの通り、タバコには様々な害があります。
まずは「タバコに含まれる有害物質」についてお伝えしておきます。
タバコには多くの有害物質が含まれていますが、その中でも3大有害物質といわれるものが次の3つ。
ニコチン
タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させるはたらきがあります。
その吸収はとても早く、体内に吸収されると数分で血中濃度を高めます。
また、長い間この状態が続く(慢性的な喫煙)ことで血管そのものや周囲の組織の老化が早まります。
一酸化炭素
タバコには一酸化炭素が含まれています。
通常、血液中ではヘモグロビンが酸素を運ぶはたらきをしていますが、一酸化炭素はそのヘモグロビンと結合することで、そのはたらきを阻害してしまいます。
一酸化炭素は酸素と比べてヘモグロビンと結びつきやすい性質を持っているために十分な酸素が届けられなくなってしまうんですね。
タール
タールはいわゆる「ヤニ」といわれるものですが、発がん性物質が含まれており、がんなどの発症リスクを高めます。
体内に入るとすぐに肺まで到達し、血液を介して全身に運ばれることとなります。
この発がん性物質は遺伝子を傷つけ、がんを発症させるリスクを高めます。
また喫煙者の排出する煙からも影響を受けるため、受動喫煙も社会問題となっていますね。
それから、歯にヤニが付着したり、歯周病や口臭の原因となります。
タバコがEDの原因となる理由
タバコはEDになる大きな原因のひとつです。
その理由を解説していきます。
血管内皮障害になりやすい
血管内皮というのは血管のもっとも内側にある細胞膜のこと。
この細胞は血流や血圧などの変化に応じて血管拡張物質を産生または遊離することで血管の緊張性を調節するはたらきをしています。このはたらきが低下してしまうと、血管が広がらなくなり血流が悪くなってしまいます。
ニコチンには血管を収縮させるはたらきがあり、血管内皮に障害を与えやすくなります。
結果として、血流が悪化してペニスに血液が流れ込みにくくなってしまい、十分な勃起ができなくなってしまうわけです。
動脈硬化による血流悪化
前項であげた血管内皮障害がさらに悪化すると動脈硬化のリスクも高まります。
もちろん、血流が悪化するためペニスに血液が流れ込みにくくなってしまい、十分な勃起ができなくなってしまうわけです。
しかも動脈硬化は発症してしまうと治すのが難しい病気です。
もうこうなると勃起がどうとかのレベルではなくなってしまいますよね。
交感神経への刺激
タバコに含まれるニコチンには交感神経を過度に刺激し、自律神経のバランスに影響を及ぼします。
自律神経には交感神経・副交感神経の2つがありますが、この神経を介して脳からペニスへと勃起命令が出されているわけです。
勃起を促すのは副交感神経なので交感神経を優位にしてしまう原因となるニコチンを含むタバコは正常な勃起を妨げるという結果になります。
ちなみに副交感神経は入浴や深呼吸などのリラックスした状態のときに優位になり、逆に交感神経は緊張した状態やなにかに集中した状態のときに優位になります。
海綿体組織の変化
ご存じの通り、ペニスの大部分を占めているのは海綿体というスポンジ状の器官です。
海綿体に血流が流れこむことで膨張した状態を勃起といいます。
この流れ込む血液量を調節しているのが平滑筋なのですが、ここにもタバコの影響が作用します。
長い期間、タバコを吸い続けているとこの平滑筋を減少させコラーゲンを増やしてしまいます。
つまり、海綿体の組織構造自体が変わってしまうということなんです。
これも動脈硬化と同様、発症してしまうと治すことは難しいんです。
加熱式タバコなら心配ない?
最近では一般のタバコに加えて、加熱式タバコや電子タバコが大流行していますね。
タバコ独特の嫌なニオイがなかったり、煙が少なかったり、身体にも害が少ないイメージがあるんじゃないかと思います。
でもそれは大きな間違いです!
加熱式タバコはタールなどは少ないですがニコチンが含まれていますので、ED(勃起不全)への悪影響は拭い去れません。
勘違いは禁物、電子タバコも危険です!
ちなみに、電子タバコはリキッドを水蒸気に換えるものでニコチンなども含まれていませんが、あれは別のフレーバーで吸っている感を楽しむためのものという認識なので、EDとは関係ないと思います。
でもタバコのうちに入らないと思いますので…。
EDになりたくなければ今すぐ禁煙!
今回は「タバコとED(勃起不全)との関係性について」お伝えしてきました。
いろいろと難しいことをお話ししてきましたがまとめておきましょう。
タバコ(喫煙)がEDの原因となる理由
- 血管内皮細胞に障害を与え、血流が悪くなる
- 動脈硬化のリスクが高くなる
- 交感神経を過度に刺激する
- ペニスの海綿体組織に変化を与えるおそれがある
とくに「2.動脈硬化」と「4.海綿体組織の変化」については発症してしまうと治すのが難しい病気です。
そうなる前にいますぐ禁煙!はじめてみませんか?
どれだけタバコがEDの原因になるって分かっても、なかなかタバコをやめるのって簡単ではありませんよね。
それでもやめられないのはニコチンによる中毒症によるものです。
本気でやめたいなら禁煙外来を試すのもひとつの手ですよ。
自力でなんとかしたいならぜひこちらの記事も→